2016年05月10日
2015年度 日本学術振興会特別研究員 申請書作成ワークショップ 実施報告
概要
2015年3月20日、23日、4月28日に、日本学術振興会(以下、学振)の特別研究員へ応募するための申請書の作成を支援するワークショップを実施しました。
ここでは、申請書を作成する人を作成者、その作成を支援する人をメンターと呼びます。
メンターは最大2人の作成者の申請書を事前にチェックし、ワークショップに臨みました。
ワークショップは、メンターミーティング(メンターのみ)、オリエンテーション(全員)、メンタリング(全員)、申請書作成(作成者)およびメンターミーティング(メンター)の流れで行われました。
ワークショップの具体的な流れ
12:00~13:00 メンターミーティング(メンターのみ)
メンターのみランチを持ち寄り、事前に確認した申請書の改善ポイントを共有しました。
オリエンテーションにてそれらのポイントをまとめた全体フィードバックをするためです。
そこでは、全体のバランスが良くないものが多い(例えば、研究の背景だけで紙面の5割を占めてしまっている)、見出しと内容が一致していない(例えば、研究目的を書くところなのに不必要に具体的な方法が記載されている)などといった意見が出ました。
13:00~13:30 オリエンテーション(全員)
WSの趣旨や流れの説明、参加者の自己紹介、全体フィードバックが行われました。
13:30~15:30 メンタリング(全員)
メンターと作成者が一対一で1時間を目安に申請書の改善に関する対話(メンタリング)を行いました。
15:30~18:00 申請書作成(作成者)、メンターミーティング(メンター)
メンタリング後、作成者はフィードバックをもとに申請書の修正を行いました。また、メンターは、メンターミーティングにてメンタリングの様子を共有しました。
最後に、参加者がそれぞれ感想を述べました。
ワークショップの良かった点、改善できる点
メンターが事前に時間をかけて申請書を読み、丁寧な対話を通して作成者の申請書の改善を促せた点は、非常に良かったです。
ここで、メンターは事前に申請書を読み込む必要があり、さらにワークショップ自体にも早めから参加するということで、メンターにとって本ワークショップが大きな負担となってしまった点は改善の余地が残ります。
また、メンタリング後に作成時間を設けていましたが、そこまで作成者とメンターのやりとりがあったわけではないので、敢えてワークショップ内にそのような時間を設けなくても良いかと感じました。
おわりに
色々と改善の余地があるワークショップではありましたが、多くの作成者が満足してくれていたようでした。
また、メンターもメンターミーティングを通して申請書の作成のコツを共有することができ、満足されている様子でした。
それらをふまえると、全体としてはやって良かったと感じています。
今後は、今回の反省を活かして、よりよいワークショップを作っていきたいと思います。
(付録)ワークショップ実施の背景
日本学術振興会特別研究員は、研究者になる上で重要な肩書きと言っても過言ではありません。実際、特別研究員になった者を対象にした5年経過後調査では、80.5%が「常勤の研究職」に就いています(日本学術振興会 2015)。
また、特別研究員の申請書を作成することを通して、研究内容や計画が洗練されていくことを、一度でも書いた方は感じられたのではないでしょうか。
そういった意味では、特別研究員になること自体のみならず、申請書を作るプロセスにも価値があるといえます。
1人で試行錯誤しながら作成することも重要かもしれませんが、私としては作成に関して知恵があるならば、それを共有した方が、全体として申請書の質が向上し、ひいては研究の質が向上すると強く感じ、本ワークショップを企画、実施いたしました。
【参考文献】
日本学術振興会(2015)特別研究員-DCの就職状況調査結果について,https://www.jsps.go.jp/j-pd/data/pd_syusyoku/27_dcgaiyou.pdf(2017年4月3日参照)
(東大 FFP 1期生 吉田塁)