2018年09月11日
【開催報告】「インタラクティブ・ティーチング」アカデミー第4回「アクティブ・ラーニングの技法」
先日終了しました下記のイベントにつき、当日の模様と、次回の予告について簡略ながらご報告します。
「インタラクティブ・ティーチング」アカデミー 第4回「アクティブ・ラーニングの技法」
日時:2018年8月4日(土)9時~16時
場所:東京大学本郷キャンパス 工学部2号館93B教室
参加者数:43名
講師:栗田佳代子(東京大学 大学総合教育研究センター)
吉田塁(東京大学 教養学部)
中村長史(東京大学 大学総合教育研究センター)
1.テーマ・目的
今回のテーマは、「アクティブ・ラーニングの技法」でした。「学習者の学びを促すアクティブ・ラーニング(AL)の方法を授業にとりいれられる」という目的のもと、より具体的には、下記の到達目標を定めました。
①ALの意義を説明できる(事前学習に対応)
②他者の授業におけるワークを改善する作業を通して、AL設計の際に注意すべき観点を説明できる(当日午前の演習に対応)
③学習者の学びを促すワークを設計できる(当日午後の演習に対応)
2.概要
反転授業型の本講座では事前課題が設けられていました。当日は、事前学習の復習に続いて、AL設計に関するサンプルを改善する演習や、自身の授業で用いるワークを設計する演習を行ないました。
(1)事前学習
動画「インタラクティブ・ティーチング」および書籍『インタラクティブ・ティーチング』(河合出版、2017年)の該当章(week1~2、1~2章)を視聴・読了してくることが参加者全員に課されました。また、希望者は、自身の授業で用いるワークを設計し提出することができました。
(2)当日
【1】趣旨説明(9時~9時15分)
本日のプログラム全体の目的や構成、本イベントにおけるルールを確認した後、参加者同士の自己紹介を行ないました。
【2】事前学習の復習(9時15分~9時30分)
事前学習の復習についてグループワークを交えて行なうことで、知識の定着を図りました。ここでは、ALを導入する意義や注意点を中心に改めて確認しました。
【3】ワーク改善演習(9時30分~12時)
サンプルとして配布されたワーク設計の優れている点と改善点とを指摘するグループワークを行ないました。事前課題とその復習で得た知識を実践できるようになることに、その狙いがありました。
【4】ワーク作成演習(13時~15時30分)
午前の改善演習で学んだポイントを踏まえて、自身の授業で用いるワークの設計を行ないました。個人での作成とグループでの意見交換を繰り返すことで、各人の授業の目的・目標に沿ったワークの設計ができているかを確認しました。
【5】まとめ(15時30分~16時)
まとめでは、本日学んだことや疑問に思ったことと、それを踏まえて翌日以降に各人の現場に持ち帰るものとを、グループワークや質疑応答を通して、確認しました。
3.参加者の反応
大学・高専教職員17名、大学院生・PD9名、高校・中学校教職員10名、小学校教職員3名、専門学校等教職員4名の計43名の方々にご参加いただくことができました。満足度について5段階評価(際立って良かった、大変良かった、良かった、まあまあ、良くなかった)で尋ねたアンケートでは、49%の方が最高評価の「際立って良かった」、47%の方が次点の「大変良かった」、4%の方が「良かった」と回答されました。ワークショップに二日間参加したことで今後の実践は変わりそうかについて、やはり5段階評価(大きく変わると思う、変わると思う、あまり変わらないと思う、全く変わらないと思う、わからない)で尋ねたアンケートでは、23%の方が最高評価の「大きく変わると思う」、74%の方が次点の「変わると思う」、3%の方が「あまり変わらないと思う」との回答でした。
自由記述欄にいただいたコメントには、以下のようなものがありました。
「今日の研修で設計したワークを必ず実践し、ブラッシュアップしていきます」(大学教員)
「この研修がALそのものという感じで体験できてよかった」(大学教員)
「ALを目的化してはいけないということを学びました」(小学校教員)
一定の評価をいただけたことに安堵する一方、過去3回に比べると少し満足度が下がった点を重く受け止めております。これからも参加してくださった方々が実践を共有し続けられる場を設けていくとともに、更なる高評価を目指してアンケートで挙がった改善点(ALの技法についても二日制で行なうべきか、より多くの技法を検討する機会を設けるべきかなど)を検討し、次回以降の企画・運営に活かしていきたいと考えています。
4.次回予告
その次回以降ですが、11月11日(日)にシラバスをテーマとした一日完結の講座を予定しております。詳細が決まり次第、お知らせいたします。皆様のご参加をお待ちしております。
参考情報
動画「インタラクティブ・ティーチング」
JREC-IN webサイト 東大FD webサイト
書籍『インタラクティブ・ティーチング』(河合出版、2017年)
https://www.kawai-publishing.jp/book/?isbn=978-4-7772-1794-6(河合出版webサイト)
中村長史 (「インタラクティブ・ティーチング」担当・特任研究員、本講座総合司会)